地下水地盤環境に関する研究協議会

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当協議会について

設立趣旨

近畿地方,特に大阪平野においては昭和30年代から40年代にかけて多量の工業用揚水により地盤沈下が進行したため,法律や条例に基づく取水制限により地下水位が回復し地盤沈下が防止された。しかし最近では逆に地下水位の上昇が別の問題を引き起こすまでになってきている。地下水の高水圧は地下掘削等の地盤工事を困難なものとし,また地下水位低下時に建設された既存の地下構造物に対しては,浮力の増大による破壊や地下水流入など安全性を脅かすまでになってきた。さらに,地下水を水資源のひとつと考えた場合には,汚染問題や塩水化問題といった地下水環境問題なども重要である。
広域で長期間にわたる地下水問題に対応するためには,効率的かつ包括的な地下水情報収集システムを作成する必要がある。本協議会は以上の問題意識のもとで地下水に関連した産官学の諸機関と学識経験者により設立されたものである。

目的

研究協議会は,

  1. 都市域における地下水の挙動および水質に関する情報を速やかに収集・分析すること
  2. 情報とデータを適正に管理することにより,建設工事の安全性と経済性を確保すること
  3. 地下水地盤環境保全のための研究を行うこと

を目的とし,さらに分析したデータをもとに地盤の水理特性,水質,地下水に関する都市防災,
および地下水の適正な管理に関する研究等を行うものとする。

活動内容例

大阪平野の3次元浸透流解析帯水層モデル
大阪平野の3次元浸透流解析帯水層モデル
大阪平野の3次元浸透流解析帯水層モデル
大阪平野の帯水層別地下水位経年変化図

深度と温度の関係

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地下水環境

地下水に係わる環境問題として、過剰揚水による地盤沈下や地下水汚染などの問題が挙げられます。

グラフまず地下水は地上のあらゆるものを支える地盤要素のひとつとしても極めて重要です。図1に、大阪市における地下水位の長期的な変動例を示しておりますが、東京、大阪、名古屋をはじめとする大都市の平野部では、昭和30年代の大規模な工業用揚水により、大幅な地下水位低下とそれに伴う大規模な地盤沈下が進行し、結果的に広範囲の海抜0メートル地帯(海面下の地盤)が出現しました。そして伊勢湾台風時の高潮に代表される浸水災害が各地の海抜0メートル地帯で発生し多数の死傷者が出ました。そのため、法律や条令により地下水の揚水が厳しく制限されるようになり、それが功を奏して地下水位も上昇し、地盤沈下もかなり収まってきています。最近では逆に地下構造物の建設工事や既存の地下構造物に対して高い地下水位(圧)が障害となるケースも出てきました。

一方、地下水は昔から貴重な水資源のひとつとしても重要であります。琵琶湖という巨大な水がめを有する関西では、地下水を上水として利用することはあまり盛んではありませんが、兵庫県南部地震の際には、上水道管の多くが破壊され深刻な水不足に見舞われたために、緊急用の水資源としての地下水(井戸水)が再評価されました。しかしながら、地下水を水資源として考える場合には、最近深刻化する一方の地下水汚染問題を避けて通るわけにはいきません。発ガン性が指摘されている有機塩素化合物などによる地下水汚染が全国各地の井戸で発見されており、汚染井戸は年々増加する傾向にあるからです。

地下水問題は一般に自然的条件だけでなく社会的条件にも大きく影響されますので、解決が困難な場合も多いようですが、地下水を環境要素のひとつとみなすならば、いずれにしましても、地下水の「量」(地下水位)と「質」(水質)の両面において良好な状態を維持する必要があります。

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